Type Slowlyの第3弾書籍は、オルタナ右翼とトランプ主義者の研究本です。
アメリカ大統領選挙の動向・結果は、日本の未来と無関係ではありません。正しいことを、正直に、丁寧に取り組むリベラルがなぜ敗北してしまうのか? リベラルと呼ばれる人々は、しっかりと「敵」から学ばねばならないのではないか。そんな問題意識から本書を刊行します。著者のアンジェラ・ネイグルはオルタナ右翼研究の第一人者です。
普通の奴らは皆殺し
オンライン文化戦争 オルタナ右翼、トランプ主義者の研究(仮)
[著]アンジェラ・ネイグル
[訳]大橋完太郎
[注釈・解説]清義明
2024年12月初旬発売予定
判型:新書(108mm×173mm)/並/240ページ(仮)
ISBN978-4-911273-02-9 C0036
定価(本体2,200円+税)
原題『KILL ALL NORMIES ONLINE CULTURE WARS FROM 4CHAN AND TUMBLR TO TRUMP AND ALT-RIGHT』
ブックデザイン 重実生哉
なぜリベラルは敗北するのか?
なぜトランプは大統領になれるのか? オルタナ右翼はリベラルが生み出したモンスターである。オルタナ右翼を正しく理解せずに、リベラルの勝利はない。
オルタナ右翼・トランプ主義者研究の最重要書
本書は、2010年代初頭に起こったオンライン文化戦争を忠実に記録し、2016年のドナルド・トランプ大統領誕生に大きな役割を果たした「オルタナ右翼」の発展への道行きをマッピングする。オルタナ右翼の特徴が、60年代カウンターカルチャーに由来する「侵犯的な反道徳スタイル」だとしたら? 本来リベラルであったインターネットのサブカルチャーは、どのように右傾化し、メインストリームを征服していったのか?
「リベラル左派が中流階級の自己鞭打ちの荒波に危険な方向に陥っているなか、アンジェラ・ネイグルは灯台守として私たちに出口を示す。彼女の分析は容赦ないが、決して残酷ではない。疎外と敗北に慣れすぎた多くの左派とは異なり、ますます残酷になる世界を変える唯一の方法として政治を信じている。彼女は私が待ち望んでいた作家であり社会評論家だ」――コナー・キルパトリック「ジャコバン・マガジン」
「ネイグルは世界でもっとも輝かしい光のひとりであり、知的同調からの独立を宣言した新世代の左翼作家・思想家である」――キャサリン・リュー(作家・アメリカ文化理論家)
「わたしたちの時代の混沌のただなかで、頼るべき人としてアンジェラ・ネイグルのような聡明で恐れ知らずの批評家がいることは救いになる。彼女は右翼のサブカルチャーの出現とその重要性を適切に説明することができないリベラルの陳腐な教義で我慢することを好まず、インターネットの洞窟のもっとも汚れた場所まで降りて、鋭く冷静な分析をわたしたちに与えようとする唯一の存在だ」——アンバー・アリー・フロスト「チャポ・トラップ・ハウス」
「アンジェラ・ネイグルは、有害なレイシズムとミソジニーが先端的なカウンターカルチャーのパッケージとして現れたとき、それに対してダブルスタンダードを用いることを一貫して拒否した、数少ない書き手のひとりである。本書は、ウェブ上のニヒリズムとファシズムがもつ新しい一面に関する見事な解説であり、この新しいニヒリズムとファシズムは、もはや「(笑)」をつけておけばよいのだと言って逃げることはできない」——デイビッド・ゴロンビア(『ビットコインのポリティクス:過激な右翼としてのソフトウェア』著者)
[もくじ]
序章 希望からゴリラのハランベに
第1章 リーダーなきデジタル反革命
第2章 侵犯のオンライン政治
第3章 オルタナ右翼のグラムシ主義者たち
第4章 ブキャナンからヤノプルスまでの保守派文化戦争
第5章 Tumblrから大学キャンパスでの戦争へ:ウェブ上の正しさのエコノミーに不足分を創り出すこと
第6章 マノスフィア(男性空間)に入会すること
第7章 つまらないビッチ、ノーマルな連中、そして絶滅寸前メディア
結論 あの冗談はもう面白くない——文化戦争はオフラインへ
[著者]
アンジェラ・ネイグル ANGELA NAGLE
1984年、アメリカ・テキサス州生まれ、アイルランド・ダブリン在住の作家・社会評論家。オルタナ右翼の専門家として「ニューヨーカー」「バッフラー」「ジャコバン」「アイリッシュ・タイムズ」ほか多くの雑誌に寄稿している。反フェミニストのオンライン・サブカルチャーに関する研究で博士号を取得。2017年に刊行した『KILL ALL NORMIES』は、白人至上主義のオルタナ右翼の起源に迫るドキュメンタリー『Trumpland: Kill All Normies』の原作となった。著書に『緊縮財政下のアイルランド 新自由主義の危機と解決策』 (コリン・コールターとの共著)など。
[訳者] 大橋完太郎 KANTARO OHASHI1973年生まれ。神戸大学大学院人文学研究科教授。専門は近現代フランス思想、表象文化論、芸術哲学。著書に『ディドロの唯物論』(2011年、法政大学出版局)。訳書にマーク・フィッシャー『ポスト資本主義の欲望』(2022年、左右社)、リー・マッキンタイア『ポストトゥルース』(2020年、監訳、人文書院)など。
[注釈・解説] 清義明 YOSHIAKI SEI
1967年、神奈川県横須賀市出身。ライター、ジャーナリスト。株式会社オン・ザ・コーナー代表。著書に『サッカーと愛国』(2016年、ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞)、『2ちゃん化する世界ー匿名掲示板文化と社会運動』(2023年、共著)、『コンスピリチュアリティ入門: スピリチュアルな人は陰謀論を信じやすいか』(2023年、共著)など。ナショナリズムやレイシズム、リベラルに関する論考を多数執筆、「論座」などにも寄稿している。Jリーグ、横浜F・マリノスのサポーターでもあり、NPO法人「ハマトラ・横浜フットボールネットワーク」、「ヨコハマ・フットボール映画祭」、被災地支援プロジェクト「Football saves Japan」などの立ち上げに関わる。