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カタログつくりました!配布いただける書店さん募集中

  • 3 日前
  • 読了時間: 16分

Type Slowlyの刊行タイトルが10点になりました。このタイミングで既刊も含めてもう一度Type Slowlyの本を知ってもらいたい、ということで、「Type Slowly Catalog & Review」というペーパーをつくりました。

ただ、目録、カタログをつくってもおもしろくない、ということで、いろんな方からレビューやエッセイを寄稿いただき、それをカタログのかたちでまとめてみました。

総勢20名の方に執筆いただき、とても豪華な、読むだけでもおもしろい冊子になったと思います。

Type Slowlyのオンラインショップで商品を購入いただいた方には、こちらのカタログを同封します。


店頭に設置&お客さんに配布いただける書店さんを募集します。

Type Slowly宛(maruo@typeslowly.co.jp)に件名「カタログ希望」として、「希望冊数」と「送り先」をメールください。折り返しメールします。



[レビュー執筆者]

『STRUGGLE Reggae meets Punk in the UK』 

薮下"Yabby"晃正(RELAXIN’ WITH LOVERS)、児玉浩宜(フォトグラファー)

『ガザ 欄外の声を求めて FOOTNOTES IN GAZA』 

早尾貴紀(パレスチナ・イスラエル研究)、山本浩貴(文化研究者)

『普通の奴らは皆殺し インターネット文化戦争 オルタナ右翼、トランプ主義者、リベラル思想の研究』 

上田太一(COUNTER BOOKS)、「ダイヤモンド・オンライン」記事抜粋(橘玲)

『愛を貫く タコス・トレス・エルマノスの革命』 

鈴木孝弥(音楽ライター)、秋峰善(秋月圓)

『愚かで悪いか』 

我喜屋位瑳務(アーティスト)、二村ヒトシ(AV監督、『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』著者)

『伝説の刺青師 梵天太郎 異端の美学 13の証言』 

ケロッピー前田(身体改造ジャーナリスト)、「週刊新潮」記事抜粋(都築響一)

『マインド・エベレスト』 

荻田泰永(北極冒険家・冒険研究所書店)、和氣正幸(BOOKSHOP TRAVELLER)

『イスラーム映画祭エンサイクロペディア』 

高良和秀(『映画技術入門』著者)

『3934km 国境を越えて』

佐々木友紀(YATO)、伊藤洋子(みどりのほんや)、「週刊文春」記事抜粋(小野正嗣)

『生活の実践 「足るを知る」と世界が治る』 

いとうせいこう(作家・ラッパー)、ダースレイダー(ラッパー)

樋口毅宏(作家)




[Type Slowly catalog & review]

発行日=2026年7月23日

編集=圓尾公佑

写真=児玉浩宜(メキシコ・グアテマラ国境、2023)

デザイン=金刺歩

発行=Type Slowly

〒181-0013東京都三鷹市下連雀8-3-11 602


[書店のみなさまへ]

書籍の注文はこちらからお願いします。



『STRUGGLE Reggae meets Punk in the UK』石田昌隆(写真と文) 定価3,909円+税

カメラを手にしたキッカケは機関車だったという元鉄オタの石田昌隆さん。黒くて煙を吐くという意味ではレゲエにハマるのもある種の必然だったそうだ(笑)。トークイベントやDOMMUNEでもご一緒させて頂いたが一見シャイで大人しそうなイメージなれど、もうしゃべりだしたら止まらない、思い立ったら即行動せずにいられない、まさに暴走機関車のごとき行動家、カメラマン、文筆家である。本書は、そんな彼の写真と文章で綴る41年分の濃密な旅の記録だ。僕は今年25周年を迎える『RELAXIN' WITH LOVERS』シリーズ全てのジャケットで石田さんの写真を使用させて頂いており、2023年にはそんな80年代初頭のロンドンのブリクストンなどを活写した写真展のお手伝いもさせて頂いた。当時、執筆作業は大詰めを迎えており石田さんは円安の真っ只中、弾丸で渡英しリトル・シムズも出演する「Love Supreme Jazz Festival 2023」を撮影し、それをクライマックスにしたいと目を輝かせていた。 パンクやラヴァーズ・ロックとの出会いは長い時間とともにその意味を回収していく。石田昌隆さんの旅はまだ終わってはいない。 現在進行形のSTRUGGLEがここにある。――薮下"Yabby"晃正(RELAXIN' WITH LOVERS)


「ライトタイム、ライトプレイス」適切な時間、場所に立ち会うこと。その適切さは歴史とともに変わり、後から意味を帯びることもある。偶然から必然を見出す眼差しと、豊かな知識と経験で、時代を疾走したドキュメント。

――児玉浩宜(フォトグラファー)


『ガザ 欄外の声を求めて FOOTNOTES IN GAZA』ジョー・サッコ(漫画)、早尾貴紀(訳) 定価2,300円+税

2023年10月7日のガザ一斉蜂起とガザ大虐殺の始まりから2年と10か月が経ちます。

イスラエルのガザ地区に対する殲滅欲望、「テロリスト掃討」の名目での無差別虐殺は、「10・7」に急に始まったものではありません。サッコが発掘してガザの物語の「脚注」として描くのは、イスラエル建国からすぐにガザ地区への包囲と攻撃が始まっていたこと、「抵抗の戦士(フィダーイー)の掃討」という名目で難民の無差別虐殺が1956年に起きていたことです。

日本のニュースでは、宗教紛争のような説明がなされ、また停戦や援助や国家承認といった表面的な事象に議論が集中しますが、私たちはサッコが描くガザの「脚注」を通して、長期的・本質的にイスラエルの狙いが何なのかを見極める必要があります。

――早尾貴紀(パレスチナ・イスラエル研究)


日々、ガザで、パレスチナで起こる「最悪を更新する出来事」は、私たちを無力感の奈落へと突き落とす。だが、それでもできることはあるはずだと信じたいし、そう信じることしか私にはできない。今起きていること、これまで起こってきたことを少しでも知ること、知ろうとすることは、そのひとつだ。それは無関心という内なる暴力に抗うことであり、目を背けて知らない振りをしていられる特権を手放すことだ。『ガザ 欄外の声を求めて』は、私たちが正しく歴史を知る手助けをしてくれると同時に、視覚芸術・文化の、その視覚性(visuality)の力を再確認させてくれる。本書が、芸術や文化に多様な仕方で関わるすべての人々にとって必読文献たるゆえんだ。

――山本浩貴(文化研究者)


『普通の奴らは皆殺し インターネット文化戦争 オルタナ右翼、トランプ主義者、リベラル思想の研究』

アンジェラ・ネイグル(著)、大橋完太郎(訳)、清義明(監修) 定価2,200円+税

決して覗き込んではいけない闇の深淵を覗くような、後ろめたい背徳やスリルに溺れるようなヒリヒリとした1冊。リベラル(自由/平等/博愛)な価値観を希求したカウンターカルチャーの末裔として生まれたパソコンとインターネットが、現在ではその真逆、ポリティカルコレクトネス(政治的な正しさ)に強烈な異を唱えるオルタナ右翼を培養させる装置に。なぜリベラルはいつも敗北するのか。なぜトランプは大統領になれるのか。憎悪とルサンチマンが膨張し続けるその過酷な現実と向き合い、頭はクラクラするけど、理想論に逃避せずに、希望を再建するための正しい立ち位置を知る重要な書物。目を背けずに。ぜひ。

――上田太一(COUNTER BOOKS)



「リベラルが秩序を侵犯し、保守派がそれを守ろうとする」という60年代の構図は、いつのまにか「サブカル右派が秩序を侵犯し、リベラルがそれを守ろうとする」というように百八十度変わってしまったのだ。――ダイヤモンド・オンライン(2025年6月26日)より抜粋 評者/橘玲さん(作家)



『愛を貫く タコス・トレス・エルマノスの革命』古屋大和 定価2,000円+税

ストリート仕込みのタフでストロングな哲学。「今の日本最高!」な人は読んで不快な気分になるか? だとしたら、むしろ今、不快になっといた方がこの国のためだろう。オレにはとても完全には真似できないが、この生き様は大方の人より確実に人生の本質に迫っていると感じる。

――鈴木孝弥(音楽ライター)


二十年前、深夜にローマ・フィウミチーノ空港に降り立ったことを思い出した。到着が大幅に遅れ、空港ちかくでバスを待ったが、数十分して時刻表が役に立たないことに気がついた。ここはイタリア、時間通りに来るはずなんてなかった。安宿を探すため歩いた真夜中の大通りで、反対側を歩く複数人に「パク・チソン!」と大きな声で呼ばれる。不思議と悪い気はしなかった。侮辱語だとわかったのはコンマ数秒後だった。当時、韓国代表のパク・チソンはマンチェスター・ユナイテッドでフィールドを誰よりも勇敢に走りまわっていたからだ。一切容赦のない「交流」は日本よりも居心地がよかった。アウェイがまるでホームのように感じられた。「ヘイトスピーチ」を浴びるとほぼ同時に、おれは「うるせえ、殺すぞ!」と日本語で返したのだった。

この本を読むと、からだの奥底からパワーが湧きでてくる。カッコいい本だった。著者の要求は高く、そして厳しいが、そこにはたしかに愛がある。おれたちが自分でいるために必要なことが書かれている。

――秋峰善(秋月圓)


『愚かで悪いか』oyumi 定価2,273円+税

パチンコで勝ったこと。友人の異常性。ある種の裏切り。マチアプで出会った男とのエピソード。コンプレックス。お金がない。ご自身の愛されることへの憧れと、それが叶わなかった過去。それらの、常に見舞われているネタのような実体験を正直に、かつ面白くアレンジして表現できるという武器は才能(何かしらの出来事に遭遇する才能も含め)なくしてありえない。現代ではあまりいないタイプの文化人肌であり、貴重な存在だと思っています。ポッドキャストの『東京トホホ』をたくさんの人に聞いてほしいし、これから地上波ラジオで番組を持たれる未来が見えて止まない。おゆみさんが描く女性の黒髪がしっとりとしていて、塗りつぶしなのに動きが見えるところが好きです、そこからの影響でわたしもたまに黒髪の塗りつぶしで描くことがあります。

――我喜屋位瑳務(アーティスト)


あなたのことを好きな人を好きになれば、なんの問題もないのに。

問題のない青春は、そりゃ面白くないだろうよ。面白けりゃいいのか。面白くなきゃ安全なのか。安全な青春なんて青春なのかい?30すぎてやってる青春は、青春なのかね。――二村ヒトシ(AV監督、『なぜあなたは「愛してくれない人」を好きになるのか』著者)


『伝説の刺青師 梵天太郎 異端の美学 13の証言』四代目梵天 彫けん(監修), 川崎美穂(編著)  定価2,728円+税

あなたは稀代の刺青師・梵天太郎を知っているか? 彼の劇画『混血児リカ』や主演監督映画『刺青』は海外での再評価が進み、人気漫画家から刺青師に転身して成功したことはよく知られている。そればかりか、1970年代、テレビ、マスコミ、さらにファッションまで、オーバーグラウンドな世界に積極的に関わり、日本の刺青ブームを仕掛けた人物こそ、梵天太郎であった。その広範な人脈からアントニオ猪木との異種格闘技戦を戦った元世界チャンピオンのプロボクサー、モハメッド・アリのリングガウンのデザインも手掛け、「刺青界の異端児」と呼ばれた。一方、梵天は多くの弟子たちを育て、晩年、沖縄に拠点を移してからも若い世代の指導に当たり、その精神はいまも継承され、日本の刺青業界を支えている。改めて、梵天太郎の人生を通して見えてくるのは、時代を駆け抜けた豪快な男の物語であり、タブーなき昭和の過激な文化史でもある。令和のいまだからこそ、梵天太郎にハマり、憧れて、強く生きて欲しい。

――ケロッピー前田(身体改造ジャーナリスト


[昭和のアンダーグラウンド証言集]

<SNSの相互監視とコンプライアンス恐怖症が蔓延する現代社会で、本人が世を去ったあとになって新たな注目を集めるようになった梵天太郎という生きざま。~梵天さんは、どうしようもない日常を「捨てちまえ」とささやくハメルンの笛吹きなのかもしれない。>

――週刊新潮 2025年10月16日号より抜粋 評者/都築響一さん(編集者)



『マインド・エベレスト』関健作(絵と文)定価2,273円+税

以前から付き合いのあった写真家の関君が、私の経営する書店にふらりとやってきたのが二〇二四年一月。「僕、エベレストに登りたいんです。一〇〇〇万円近いお金をどうやって工面すればいいんでしょうか」話を聞くと、その年の春に登りたいとのこと。「え?あと三ヶ月くらいしかないじゃん」私はそれまでの北極での冒険経験から、スポンサー集めについてアドバイスをした。「流石に今からは無理じゃないか」と私は思っていたが、彼はなんと有言実行、その年の五月下旬には世界最高峰の山頂に立っていた。「マインド・エベレスト」は、そんな関君がエベレストに向かっていく準備、実行までを記録した絵日記だ。全ページが関君自身の手書きのイラストと手書きの文章。「写真家の本なのに、写真が一枚もない」初めて本を手に取った時、その潔さに私は感服した。世界最高峰という新しい挑戦に立ち上がったアラフォー男には、愛する妻と娘がいる。家族ともう会えないのではないか、日本を出発するときにその恐怖で泣いたと語る関君の挑戦は、きっと多くの人の背中を押すだろう。もういい歳だから。そんな言い訳に負けそうなとき、きっとこの一冊はあなたにエールを送るはずだ。

――荻田泰永(北極冒険家・冒険研究所書店)


数年前、登山家・山野井泰史のドキュメンタリーを観た。そこには指を数本失っても山登りへの情熱を失わない怪物みたいな人間がいた。私は登山家についてあまり知らない。知っているのはこの山野井泰史とあとは植村直己くらいだろうか。だから登山家という人間は浮世離れした理解しがたい人間なのだと思っていた。『マインド・エベレスト』を読んだ。そんなことなかった。手書きの絵日記に記されていたのは弱さを抱えた人間らしい人間だった。そんな弱さを抱えてそれでもエベレストに登る。剥き出しの人間に触れられる一冊だった。

――和氣正幸(BOOKSHOP TRAVELLER)


『イスラーム映画祭エンサイクロペディア』藤本高之(「イスラーム映画祭」主宰) 定価2,728円+税

小6の夏に観た『ランボー3 怒りのアフガン』が、おそらく映画で最初に観たイスラムの風景だろう。その後『インディ・ジョーンズ 最後の聖戦』のペトラ、『アラビアのロレンス』のアカバなど、いろいろ目にはしているはずだが、なんと言っても決定的だったのは、大学に入った95年の春、映画サークルの人たちに連れていかれたユーロスペースで『友だちのうちはどこ』を観たときだ。初のミニシアター! 初のイラン映画! それまでの「戦うムスリム」とはまったく異なる、ごくふつうのイランの少年の日常。ロバに乗った男を必死で追う少年、そこにかかるアップテンポな民俗音楽、そして夜の異様な暗さなど、観たことがない風景がそこにはあった。あたかもドアが突然開いて暗闇から外気が吹き込んでくるあのシーンのように、別世界の空気と遭遇したのだ。

イランを含む35の国や地域で作られた102作品について詳しく解説した本書には、そんな未知の扉がバンバン開いていく感じがある。充実したパンフ20冊分くらいの凄まじい情報量! 作品について読み、そのままYouTubeで予告編を観れば、世界の広大さとそのリアルな感触に圧倒されるだろう。

――高良和秀(『映画技術入門』著者)


『3934km 国境を越えて』フアン・カルロス・ケサダス(著)、星野由美(訳) 定価2,000円+税

昔YIDFFで、『ラ・カチャダ』という映画を観た。エルサルバドルの露店で生活の糧を得るシングルマザー5人が演劇のワークショップに参加し、劇団ラ・カチャダを結成し、次第に社会全体が許容している、女性に対する不当な暴力のサイクルである、自分たちの生活や状況に向き合う。彼女たちは公演を成功させ、植え付けられたトラウマを乗り越えることができるのだろうか、というドキュメンタリー。思えばこの映画祭で、世界中の女性が不当な暴力と、トラウマに苦しみながらも、せめて少しでもそこから他の誰かを救おうとする、女性の連帯の映画を、どれほど観たことだろう。全てが永遠に忘れがたい。

『3934km』の3人の女性たちも、それぞれの国で沢山の不当な暴力を本人たちが体験し、目撃した。その記憶が、物語の燃料だ。暴力を拒絶したことで、彼女たちは国を移動し続け、連帯し、アメリカへと進んでいく。日本語版では、津田周平の挿画がこの小説の芸術性を大いに高めている。救いの無い砂漠に水をもたらすのが芸術であると気付かされる。ぜひ読んで、その救済であり、祈りであるようなものを共有してほしい。きっと、読むこともまた芸術であり祈りなのだから。

――佐々木友紀(YATO)


故郷のエルサルバドルを逃れ、いくつかの国境を越えてアメリカへと向かう移民の少女と、年上の女性たちとの交流を中心に描く。女たちの連帯は互いを癒し、エンパワメントし合いながら旅は進む。どんなときも少女は自由な想像力と感性で、物事や人々をとらえ続ける。少女のまなざしは、津田周平氏の画にも重なる。詩のような文体、文学とアートが絶妙に物語を織りなす構成も魅力だ。手元に置いて何度もページをめくりたくなるだろう。

ところで、この本の大事なキーワードは「国境」だ。「国境は世界でもっとも愚かな嘘」と少女は思う。同じ空や大地のもと、人間同士を分断する壁が抱える根本的な矛盾を、少女は直感的に看破したのかもしれない。

――伊藤洋子(みどりのほんや)


[中米からアメリカを目指す子供たちの“残酷な現実”]

現実は小説とは違うと言われるかもしれない。しかし、すべての小説が現実に根を張り、そこから生まれてくる以上、小説が希望を描けるとしたら、現実にたしかに希望があるからなのだ。この物語はそのことを私たちに信じさせてくれる。>

――週刊文春 2026年6月25日号より抜粋  評者/小野正嗣さん(作家・フランス文学者)



『生活の実践 「足るを知る」と世界が治る』有太マン 定価2,000円+税

まずこの本の成り立ちに驚いてほしい。環境負荷を抑えた印刷と製本でつくられており、その意義は最初の2ページで完結しているとも言える。つくられ方自体がもうメッセージなのだ。「やきとん」の話から東京ローカルの生き方を問い、「生命主義」、「足るを知る」という思想を展開する。目次を見て内容が予測できてしまう本はつまらないが、この本は全然予測できない。その予測できなさがこの本の魅力である。「ナメられてなんぼ」という姿勢は、僕の「無力上等」という考え方とも重なり、カリスマに依存しない社会変革の可能性を示している。へっぽこでも、野良犬でも、自分で考え半歩でも進む——その積み重ねが世界を変える。そんな可能性を信じさせてくれる一冊だ。 

ーーいとうせいこう(作家・ラッパー)


ヒップホップは持たざるものたちの文化だ。2台のターンテーブルでファンキーなレコードがプレーされ、それに合わせ身一つで踊るブレイカーたち、言葉で韻を踏むラッパーたち、街をキャンバス代わりにするライターたち。何も持ってない代わりに日常のあらゆるものが道具になり、アイディアの源泉になる。ヒップホップは生活者の文化であり、ラッパーたちがレペゼン(代表する)のは地元の生活者だ。『生活の実践』では有太マンの様々な活動が語られるが、その行動原理には常にヒップホップがある。3.11東日本大震災で起きた原発事故により福島では以前の生活の維持が困難になった。その福島に移住し住民たちへのインタビューを重ねる様子は、全てを奪われたと思われていた福島の人々が、これまでの日常の積み重ねとこれからの日常への構えの中で生み出した豊富なアイディアの記録だ。有太マンは活動を続ける中で「足るを知る」哲学に辿り着く。それはいまだに人類が持て余している原子力という巨大すぎるエネルギーに対抗する再生可能エネルギーのアイディア、そしてかつての経済大国が人口減少による縮小を余儀なくされる日本社会を治す可能性に繋がっていく。ヒップホップ的に言えば、DJがMIXして繋げていくように。

ーーダースレイダー(ラッパー)




Type Slowlyとは自由と正義だ。

「おまえ何歳なんだ。あたま大丈夫か」と思いたい人は思ってくれ。その通りなんだから仕方ない。Type Slowlyから出ている本は、社長のまるおさんそのものだ。分身ではない。まるおさん自身だ。

切ったら血が噴き出しそうだし、踏んだら声まで上げそうだ。

自由と正義を求める闘い。まるでルチャ・リブレのような信念。楽しさと軽やかさを忘れない。『STRUGGLE Reggae meets Punk in the UK』、『ガザ 欄外の声を求めて FOOTNOTES IN GAZA』はもちろん、『愚かで悪いか』、『伝説の刺青師 梵天太郎 異端の美学 13の証言』も、まるおさんの強い叫びだ。

誤解しないで欲しいのは、だからと言って「本」を野暮ったいツールにしていないこと。Type Slowlyから出ている「本」はアジテーションのビラじゃない。「本」なんだ。「本」を手段にしない。それが大事。

Type Slowlyの魅力って何だと思う?

まるおさんが自由なことだよ。まるおさんは本を作るだけでなく、Xを見てると毎日遠くのどこかに出かけている。世間一般の大多数が一生に一度も行かないような場所に足を踏み入れている。日本より海外にいる時間の方が長いみたいに思えるほど。

だけど自由であるがゆえに、彼を快く思わない人たちがいる。自分が不自由なことを妬んで、まるおさんのことを恨む。

でもね、自由は死なないんだよ。

まるおさんは強かに、しなやかに、生き延びていく。

Type Slowlyは屈しない。

繰り返す。Type Slowlyとは自由と正義だ。

――樋口毅宏(作家)

 
 
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